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No.55 もっと好奇心を持とう

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はじめに

 

技術なしで地面から始めます。

簡素化に注目して。

道具は少ないほどいい。

プロの仕事で「2ロープシステム」を使用する動機について、初心者に説明するなら、まずアンカーの安全性について話します。

1つのアンカーで安全に作業できるなら、アンカーを2つにすればもっと安全性が向上します。これは簡単に理解できると思います。

 

次に、同じ事をある程度経験のあるクライマーに説明する場合、違う説明になります。

ストレスの多い作業環境では、装備や技術を増やすだけでは安全性やセキュリティを必ずしも向上させません。

経験と技術が少ない人にとっては、技術が複雑になって使いこなせなければ安全性が低下する可能性もあります。

初心者への説明に戻りましょう。

重要で複雑な情報を正確に伝えるのは非常に難しいです。

できるだけ簡単な技術に絞れば情報の伝達はより正確になると思います。

ワークポジショニングを良くしたいと考える時、目標からさかのぼって考える方がより的確で安全な方法が見つかるかもしれません。

終わりから始めて逆に作業を考えるのです。

目標を明確にすることが鍵です。

行きたい場所を決めてから、そこに到達する方法を考えるのです。

 

現在成長過程のクライマーへ

木に登ることは、技術や経験に関係なく誰にでも挑戦的なものです。

友人、会社、国などによって作られた技術体系に従えば十分だと感じることがあります。

難易度の高いロープワークが続く場合、複雑な形状の木に上る場合は、体力の消耗が激しくなります。

自分のクライミングセットには何が入っているだろうか?

ロープ1本、プルージックコード2本、短いランヤード、補助スリング数本?

年1回カビの生えたポーチから引き出される「救助セット」?

チェックシート?

技術はどこから学べばいいだろうか?どの国?どの歴史的時期?

昨日?今日?明日?

クライミングは一般的に過酷な肉体労働で始まり、しばしば作業が終了するまで過酷なままです。

クライミングの人間工学的なアプローチはともかく、疲れにくい手の握り方、足の使い方のような些細な事についてさえ教えられることはほとんどありません。

正直な話、ガイダンスなしでクライマーは辛い肉体労働をせざるを得ない状態です。

それは怪我や失敗に向かってひたすらランニングマシンに乗せられているようなものです。

リギング

 

複数のロープを使って材を移動させること。

計算された方法で重い材を容易に操作すること。

長年の研究と応用の結果、僕は木を空中で制御し、必要な場所に移動させる自信があります。重力は僕の味方です。

500kgの丸太を腕力だけで移動させるべきでしょうか?

僕がイギリスにいた時には、多くの大きなブナの木が「扱いやすいサイズ」に切り分けられました。輪切りにし、地上近くで4つに切り分けられました。

木くずにまみれ、振動にやられ、手首や肘の酷使で怪我をし、雨の中で長い退屈な片付けをしました。

なぜ同僚たちは簡単な搬送システムやスライドラインを使ってこれらを移動を考えなかったのか、僕はいつも不思議に思っていました。

クレーンは素晴らしい道具です。

それに比べロープ作業は複雑で、理解するのが非常に難しいです。

それをうまく使いこなして、シンプルで効率の良い仕事がこなせれば、それは素晴らしいことです。

クライマーには第3の力が利用可能であり、それは障害と見なされることもあります。それが重力です。

これは陳腐に聞こえるかもしれませんが、水が下に流れるように、私たちもそれに従わなければなりません。

抵抗するか従うかで、考え方が大きく変わります。

恐怖心は抵抗する姿勢を導き、筋肉が緊張し、アドレナリンが分泌され、疲労を引き起こします。

リギング作業が物理法則に従って進められるように、クライマーも同様です。

私たちの骨格は重力による圧縮には強いので、体を積み重ねるように使うべきです。

箱を持ち上げるための良い姿勢は、木登りにも共通しています。

背筋をまっすぐに保ちましょう。

若い人や運動能力の高い人は骨格の積み重ねの限界を押し広げることができますが、私はゆっくりと考えながら動くことを好みます。

登りながらポジションを探し、枝の外側まで行って作業をし、再び木の中心に戻っていく際にも、チェーンソーを外してスタートさせる時も。

コーヒーを飲んで、背筋をまっすぐにし、体の積み重なりを意識し、重力に逆らわない。

ゆっくり考えて、体の流れを整えます。

そうすれば怪我や疲労が少なくなります。

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クライミング

クライマーがロープに吊り下がると、円形の動きになります。吊り下がって円形に動く間は自分の体が軽く感じます。

MRS(ムービングロープシステム)とSRS(ステイショナリーロープシステム)、十分に強くて高い位置にアンカーポイントが作れれば、小鳥や昆虫しか行くことができない不思議な場所にも安全に行くことができるようになります。

この場所は人間が通常居られるような領域ではありません。

ロープは振り子のように動き、クライマーは円を描いて動きます。

複雑に伸びる枝の間を通りぬけ、よく考え、多くの技術を使う事ができます。

リギングシステム同様、クライミングシステムでも体の動きは安全で滑らか、無駄な動きもなくイライラも少なくなるはずです。

これに2本目のロープ、リダイレクト、ハイライン、トラバースといった技術も加わります。

ツリーワーカーは最初は1本のロープから始めました。

腰に付ける短いロープと枝に掛ける長いロープの2つの組み合わせが現在まで続く基本になっています。

リギングシステムは可能な限り作業の多くを1つでカバーするよう考えられ、セットされ、使われて来ました。

途中で変更するのはとても面倒です。

クライミングも同様に、作業の可能な限り多くをカバーするシステムを考えます。

途中でポジショニングを考え直すのはやめたいです。

2つのアンカーを作れば作業の幅を広げ、クライマーがすぐにポジショニングを微妙に調整する事が出来ます。

ランヤードの使用は減り、必ずしもカッティング時のバックアップとしての役割がなくなりました。

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主要 (メジャー) 技術と補助 (マイナー) 技術

主要技術と補助技術の違いを説明します。

基本の技術があって安全性が確保され、その上に各種のスキルや技術が育ちます。

その技術はある状況を解決するために生まれ、その使用は一生に一度だけかも知れず、重要でありながらマイナーです。秘密兵器のようなものです。

主要技術は常に一定で、頼りにされ、信頼されます。

それらは根太く弾力性があり、どんな状況でも機能するはずです。

スローライン技術は主要技術です。

違う素材のフリクションヒッチを使い分けるのは補助技術です。

システムを安全でシンプルに保ち、技術と装備を効率的に機能させることは難しく、開発には時間がかかります。

この探究は決して後退するものではありませんが、安全でシンプルなシステムをうまくこなすには時間と努力が必要です。

主要技術は、革新や変更が少ないです。

それは自転車の乗り方のように体に染み込みます。

補助技術は細かい技が多く、使わないと忘れてしまいます。

主要技術を補助技術よりも優先してください。

ロープを投げる技術、ノットの技術、物理的なメカニクスの知識、アンカー技術、MRS & SRS、振り子運動、ボディースラスティング (体の反動を使う技) などです。

リダイレクト

僕の最近の傾向は、持ち物を少なく、特別な技術も使わないようにする事です。

補助技術より主要技術を多く使うよう心がけていますが、これは自主的で有機的に考えて選んでいます。

SRSリダイレクトは自然な枝を利用するため、スタンディングエンドを引き上げなければなりませんが、これは少し面倒です。

でも次の3つの利点もあります。スリングを持ち歩かなくて済む事、木の強いポイントがわかる事、システムが簡単に回収できる事です。

1本のロープに確保されたまま、もう1本のロープに体重移動できればどれほど安全で優れた事か説明し尽くすことが出来ません。

それはツリークライミングのいくつかの複雑な問題をクリアしてくれます。

そしてこれは主要技術と言えます。

2つのシステムを使えばリダイレクトをして作業をしてまた戻ってくる事が非常に簡単になります。邪魔な枝をすり抜けて行ける技は、エリック・ウィップルさんが言うようにまさに「ゴーストテクニック」と言えます。​

その他のこと

自分が吊り下がっているすぐ近くの枝にリダイレクトをセットするには、単純にロープとデバイスを外してその枝を越してからまたハーネスに付け直せば完了します。

その後移動するに従ってロープのスタンディングパート (デバイスから下に伸びる部分) が枝を越えて引きずられて付いてくる事から「ポニーテール」リダイレクトと呼んでいます。

セッティングが速く、回収も簡単です。

主要技術というほどではありませんが、非常に近いです。

 

デバイスにテザーを付ける理由は、デバイスの下で体が回転できるからで、ロープを持ち上げて頭の上を越す必要がありません。

チェストハーネスをロープに連結すれば、体を立てた状態で登ことがます。

樹冠を登るとき大きなたるみを作れます。

ボディスラスティング、フットロッキング、またホーリング (引き上げ) ポイントに使えます。器具同士の衝突が少なくなります。

 

3点可動式スイベルが便利です。またはデバイスにスイベルを1つ付け、その上にスイベルを2つ取り付けてもいいです。

 

アンカーの設定:適した場所を選び、そこに2重に掛けます。1つのフリクションセーバーをもう1つに重ねてセッティングすれば回収が簡単になります。

 

ノットブロッキングは回収時の摩擦が低いためお勧めします。

欠点は器具が落下したり引っ掛かる事です。

2本のラインの回収を簡単にするためにはアメリカン・クラッカーがお勧めです。

本当にスムーズです。

2ロープシステム:シンプルなシステムです。それ以上言うことはありません。

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