ツリーワークの事故で上位を占めるのは感電事故、落下物の衝突、そしてチェーンソーによる負傷です。みんな生命を脅かす深刻な事故につながります。高圧線の事故を防ぐには専門家のアドバイスが必要ですし、落下物の衝突を避けるにはコミュニケーションとチームワークが重要です。そしてチェーンソーの事故を防ぐには、チェーンソーの正しい操作をまず地上でしっかりマスターした上に、ロープとランヤードを使ったワークポジショニング技術もマスターする必要があります。チェーンソーの怪我はちょっと当てただけで大きく、そしてひどい傷口になってしまいます。事故を防ぐしっかりした作業手順、緊急時に備えたレスキュー訓練、そしてファーストエイドキットの携帯で安全な作業に努めてほしいと思います。
シルバーブル
トラウマ キット - エマージェンシーバンデージ/止血帯 (Tourniquet) /緊急止血剤
Treekit 創立者 マイク ストーリー氏がデザインしたハーネスに取付けるエマージェンシーバンデージ、止血帯専用パウチです。
止血帯といえば締めっぱなしにしているとその先が壊死してしまうという話をお聞きになると思いますが、最近聞いたイラク戦争時の負傷兵に関するデータで、止血帯をしっかり締められた負傷兵のうち2時間程度なら全ての兵士が問題なく回復したというものがありました。(できれば皆さんの身の回りで止血帯に関するデータを調べてもらえればと思いますが。)
ともかく、大量出血に対する備えは非常に大事なことだと思います。
イスラエルスタイルのバンデージは傷口をしっかり押さえるためのクリップが包帯に取付けられています。
一つは常備するために、もう一つは練習のために2つ購入されるのがベストだと思います。
ロープに吊り下がったままバッグから取り出して片手で巻きつけるというのはかなりのチャレンジですよ。
E-Vac Pack(イーバック パック)
同じくマイク ストーリー氏が Treekit レスキューワークショップのためにデザインしたレスキューキット用バッグです。
防水でコンパクトなリュックサックスタイル。
レスキューキットの他、スローライン等が収納できるポケット付です。
僕はこの中にアクセスロープを収納していますが、体の前にも後ろにも負えるので山中の現場で特に活躍しています。
針葉樹にスパーで上る仕事ではロープを携帯すると非常に都合が良いのですが、そんな時このコンパクトなイーバック パックは最適です。
ART
ロープガイド ツインライン
ローフリクション アンカーはDdRTだけのものではありません。
SRTにおいてもその低摩擦の特性を生かしてアンカーの回収を容易にできます。
特にこのツインラインのように優れたデザインのものを使えばスムーズなシステムチェンジを可能にしてくれます。
ダイニーマ製の軽量スリング。
リダイレクトのアンカーとしていろいろな使い方ができます。
スネークアンカーとペツル リグ
スネークアンカーはスネークテールのもっと長いバージョンでトランクアンカーとして使いやすく、特にペツルリグ(または同様のディッセンダー)と組み合わせるとレスキュー可能なアンカーができます。(250cmと500cmの2種類があります。)
これ以上の優れたランヤード用アジャスターは他に見当たりません。
無いんじゃないかな??
僕はポジショナーをかれこれ10年近く使っていますが今でもしっかり働いてくれます。
耐用年数をチェックしなくちゃと思っています。
FTC
マトリオサック
このところスティッフラインがODSKのスローライン売り上げNo.1になっていますが、その収納にはファルテーマのキューブを3角形に畳まず四角のまま保管することを勧めてきました。
スティッフラインの製造元 FTCはロシアの有名な民俗玩具マトリョーシカのように1つのバッグがもう1つのバッグの中にすっぽり入って2セットを一緒に保管できるスローラインバッグも作っています。
僕は最初のデザインのものを一年間使ってきましたが、もう他のものは使わないでし
ょう。
マトリョサックはスローラインの収納が楽で、なおかつ斜面や風の強い時でも転がりにくく、木の上でも楽に使えます。
最新バージョン(マトリオサック3)はサイズが少し大きくなり丈夫に作られています。
ゴードンさん製造のコンパクトブルドッグボーン 、オリジナルバージョンを使っている方は、このアジャスタブルトップアームに付け替えが可能です。
10.5mm〜12mmのロープならドライバーで簡単に調整できるので、何本かのロープを使い分けている人にはうってつけだと思います。
TAZ
LOV2
LOV2はフランス製の新しいアッセンダー/ディッセンダー/フォールアレスター(複合器具)です。
LOV2はレバースタイルのツールの中では一番応用が効くツールです。
何故ならロープが真っ直ぐにセットされるからです。
それによってフットアッセンダーやニーアッセンダーを併用してロープを登ることができます。
LOV2はヨーロッパ規格のテストをクリアしているのでSRT用アッセンダーとして他のバックアップシステムなしで正式に使用できるツールです。
ロープガイドツインライン若しくはSRTボトムアンカーと10.5 mmロープを使えば無駄な苦労をせずにスムーズに下降ができます。
(現在はカラビナを付けたままでオープンできるLOV3にバージョンアップされています。)
エーデルリッド
Talon
軽量で耐久性の高いスチール製クライミングスパー Talon のデザインコンセプトは足へのフィット感の重視です。
パッドの高さが微調整できることやロアーストラップが3方向に調節できることで、誰でも自分の足にピッタリと合わせることができます。
また通気性の高いメッシュをパッドに使うことでムレにも対応しています。
パッドのプラスティックフレームはエーデルリッドロープのリサイクル。
そして全ての繊維部分は取り外しが簡単で洗うのが楽になっています。
まだ専用のアッセンダーは販売されていませんが、ちょっと工夫すればKIWIクライマーが取り付けられます。詳しくはショップまでお問い合わせください。
(現在専用のフットアッセンダーツリークルーザーがあります。
トゥーフェルベルガー
ドレーナライン
SRTとDdRT双方のためにデザインされたロープがついに登場!
実際どちらにもよく使えました。
ドレーナラインはパラレルコアなのでカム式アッセンダーに適しています。
また柔らかくてノットも結びやすく、伸び率も少なくてEN1891(産業用アクセスロープ規格)にも適合しています。
ロープエンドにはSlaiceのアイ加工が施されています。(現在はspLIFEです)
そして何と使い始めると色が変わっていきます。
色が変わる???
使ってみるとわかりますよ。
No.30 2018ウィンターギアレビュー
エーデルリッド Talon スパー
シルバーブル「E-Vac Pack」
アーボプロ「Evo 2」ブーツ
で身を固める
佐々木ノリオ君
2017年12月 マルイチ現場にて
ARTのDdRT用ローフリクションデバイス『スパイダージャック』の最新版です。
前回の記事でも紹介しましたが (こちら) 、もう一度紹介します。
なぜなら使い始めて6ヶ月経った今でも楽しく使えて興味が尽きないからです。
マルイチのメンバーもほとんどの連中がSJ3に感化されたため、みんなでDdRTの再検証を進めているところです。
とても良いことだと思います。
三重のワークショップに講師として招いたジョーハリスさん (SJ3のプロモーションビデオに出ている人) も体を酷使せずに楽に使えるこのSJ3を賛辞し紹介してくれました。
使用上の2つの注意点:
・ロープレンチを取り付けてSRTで使用するのは厳禁です。
SJ3の構造上適しません。
他の器具との組み合わせ方次第でSRTアクセスシステムに組み込むことができます。詳しい内容は僕(ポール)に問い合わせて欲しいと思います。
・ロープは本体を通る部分とエンド部分が平行になっていないとカムが正常に機能しません。ですからハウススリーブを使ったアンカー近くやハーネス両サイドのDリングにランヤードのように取り付けると正常に機能しなくなります。