No.23 SRT アンカー パート2
キーワード:DSRT(ダブル シングル ロープ テクニック)、TRT(ツインロープ テクニック)、イコライジング アンカー、回収、ノット ブロッキング、適合性
SRTは非常に早いスピードで日々進化しており、クライマーの動きやワークポジショニングを支えるすばらしいアイデアが生み出されています。つい最近も奇妙なアイデアを思いつきました。それはDdRTと同じ原理でSRTのアンカーを回収できる方法です。DdRTにはSRTクライミングにはない大きな利点があります。それはクライミング中にワーキングエンドをずっと保持している点で、それによって素早く簡単なアンカーセッティングと回収ができるわけです。
ダブルシングルロープテクニック DSRT
ダブル シングル ロープ テクニックでは2本のクライミングロープとビレイシステムを使います。何通りものセッティング方法と使い方にも多くのオプションがあります。DSRTはDdRTで使われるダブルクロッチとは違います。ダブルクロッチは反対側にセットした2つのアンカーによってバランスを取るテクニックですが、DSRTは2本のロープをアンカーに均等な荷重でかけることと摩擦をなくして未だかつてないほど多様なリダイレクトと安全かつ簡単なメインアンカーへの帰還を可能にしてくれます。
3リングシステム
任意の長さの3本のロープをノット、スプライス、または縫合によってリングに取り付けたものです。2本をトランクアンカーに固定しハイラインにすることも(写真)、1本をトランクアンカーに固定して2本をワーキングラインにすることもできます。2本使ってフットロック、1本でロープロケット、また1本はワークに使いもう1本はレスキュー用として残すこともできます。2本使ってDSRTをセットすることもできます。
リングの位置を枝又よりトランクアンカー側にセットすると2本のワーキングラインはそれぞれ独立します。すなわち1本に荷重がかかっても他の1本はそれに伴って引っ張られることがなくなるわけです。右写真のケヤキがその例です。
このシステムを使えばすでに最初のアンカーがしっかり確保されているのでクライマーは安心してより高い位置にリダイレクトをしていくことができます。一旦2つのアンカーがセットできればその間の空間を自由に移動することができるようになります。最初のアンカーまで降りればリダイレクトしたラインを回収できます。



SRTプーリーセーバー (2システム ループ)
テューフェルバーガーのプーリーセーバーをSRTにも使えるようにアレンジしました。(ピントを2つのリングに付け替えました。)28mmのリングとスモールサイズの回収用コーンを使います。プーリーをリングに変えたことで様々なテクニックが使えるようになりました。


1.DdRT
摩擦の少ないリング&リング フリクションセーバーとして使えばDdRTがセットできます。

2.ノットブロッキング
サイズの適合したリングとロープを組み合わせればノットがリングでブロックされて体重を支えてくれます。リングが大きすぎたりロープが細すぎると体重をかけるとノットがリングをすり抜けてしまいクライマーは墜落してしまい大変危険です。リングとロープのサイズ選びは非常に重要です。
1本のロープをSRTラインとしてセットすることができます。(上左) ランニングエンドを地上まで長く垂らせば下りてからの回収が可能です。
2本のロープをブロックすればDSRTラインとしてセットできます。(上右) リングを使えばロープの長さ調整が非常に楽になります。
それぞれのロープは独立していて1本に荷重がかかってももう1つのリングは自由に動きます。



3. DdRTとSRT
DMMのリボルバーカラビナを1つのリングに付ければDdRTとSRTを並べてセットすることができます。DdRTシステムはLサイズ回収用コーンとXSREアクセサリーカラビナ(写真下)を使ってSRTシステムを回収するために使えます。リボルバーではロープの曲がりが気になるという方はピントプーリーとオーバルカラビナでDdRTをセットすれば安心です。



4. TRTとSRT
ツインロープテクニックの不思議な世界へようこそ!
8mm~8.7mm程度のダイナミックロープまたはダブルブレイドロープ2本をリングに結びます。リングは2本のロープの真ん中に来るわけです。これの使い方をいくつか紹介します。枝又に掛ければフットロックシステムのセットになるわけですがここにロープランナーを取り付ければ上昇下降共にできるシステムになります。軽量ロープなので枝又へのセットが楽で樹皮を痛めることも少ないでしょう。TRTではクライマーは常にワーキングエンドと共に動くので(DdRTと同様に)どこにいても簡単に回収が可能になります。



SRTプーリーセーバーをセットするときはTRTシステムのうち1本のロープを解いてリングに通してから再びリングに結びます。
SRTプーリーセーバーの空いているリングにはDdRTシステムをセットすることもできます。アルパインバタフライを結びデイジーチェインでバックアップし回収用にXSREカラビナを取り付けておきます。TRTリングと2番目のシステムのワーキングエンドが連結している部分に注目してください。TRTリングは簡単に位置を変えられるようになっているので、ここから今後新しいテクニックが発見できるのではないかと思っています。

2番目のシステムは必要な時にTRTリングを使って手元に引き寄せられるようにしてあります。(右下写真)




TRTとSRTの回収の一例;ポールさんのVimeoビデオ


